阿保峠の『くすめき地蔵』 - くまもと自転車紀行

近代医学が発展する以前、人々がどうやって病気や怪我と対峙してきたか、職業柄、大変興味がある。自転車に乗るようになって訪れた神社仏閣などでも、その一端をうかがい知ることができる。熊本で有名なのは、嘉島にある甲斐神社、通称、足手荒神。

手足を負傷して死んだという武将・甲斐親英（宗立）を祀ったもので、今も手足の怪我や病の回復祈願をする人の足が絶えない。この嘉島の足手荒神を分祀したものが、大津（KENさん実家のすぐ近く）や、

和水町（旧・三加和町には『からだにまつわる八つの神様』がいらっしゃる）、

阿蘇の狩尾峠（ラピュタ）への坂道の途中の長者ヶ丘公園にもある。

他にも、嘉島の本家とは関係なさそうな足手荒神が、山鹿の不動岩の下

それに先月、散策をした阿蘇・坊中の西巌殿寺にもある。

坊中と言えば、踊山神社には『スジ（てんかん）の神様』がいらっしゃる。

同じく『すじの神様』が不知火町永尾の古屋敷地区にもいらっしゃる。

また、必死に上った阿蘇の田子山（たんごやま）の山頂には、祈れば結核予防になるという青面金剛（しょうめんこんごう）が祀ってあった。

少々前置きが長くなったけど、本日のポタリング・・・宇土半島の付け根、轟水源のある轟から網引へ抜ける山道に、阿保（あぼ）峠がある。

その峠には、『くすめき地蔵』が祀ってあるらしいので、見に行く事にする。ちなみに『くすめき』とは熊本の方言で、『百日咳』のこと。午前７時半頃、クロモリロードバイクで出発。いつものように出水ふれあい通りを経由して浜線バイパスに出て、中の瀬橋を渡り、加勢川沿いの道を走る。朝の冷え込みのために川面から湯気がでてきるように見える。

県道182号線に左折して釈迦堂橋を渡り、赤見の交差点を右折。富合町の志々水地下道を通って、道なりに進み、走潟に抜けて、新装開店したセブンイレブンで燃料補給。

店内にはイートインスペース（椅子４つ）が出来ていて、感激！

次郎兵衛橋を渡って農免農道に入り、しばらく走って左折。国道57号線を渡り、網津小学校のところから県道58号線に入って坂を上る。網引の集落の先から左折して赤木橋を渡る。

集落を抜けると、道が狭くなり木立の中へ。

路面には鶏卵大～手拳大の石が所々に転がっており、それを避ければロードバイクでも問題ない状況。

九十九折の坂を上り、野鳥の声を聞きながら、峠に到着。

約150年前に造られたというお地蔵さんは、『くすめき（百日咳）に効く』という役目はもう終えただろうが、変わらぬ微笑で、峠を行く人たちを見守り続けることだろう。

峠から横に少し上がったところに、江戸時代の宇土地区の村共同体の発展を示す板碑が立っている。

轟側へ下ってゆくと、こちら側の路面は比較的良好。

道をグネグネ下って、左折し、轟水源に立ち寄りボトルに給水。

ここまで、予定より早く来たので、いつか辿り着けなかった、横綱・不知火諾右衛門（しらぬいなぎえもん）の墓を見に行く事にする。

ところが、今回もこの後の案内板を見つけられず、諦めかけていたところにやってきたお母さんに場所を聞くと、先導してくれた。

坂をのぼって、階段を上って、お墓に辿り着く。

そう言えば、今日は、大相撲･熊本場所が開催されている。横綱の白鵬も日馬富士も土俵入りは、この諾右衛門が始めたという『不知火型』である。そこから宇土の街を抜けて、富合の新幹線車両基地の近くに昼飯を食いに行く。

いつか、『くまサイ』の後で来たが、生憎、定休日で涙を呑んだことがある。荒尾のリーフさんお薦めの、『マグロカツ丼・小盛り・680円』をオーダー。

実は、あんまり期待していなかったんだけど、すごく美味しい！マグロは赤身だろうと思っていたら、なんと、白身！しかも中心部はピンク色の『レア』状態で、とても柔らかい。店長に、マグロの種類を聞くと、「『ビンチョウ・マグロ』の、とろを使っています。」とのこと。これはリピーターになりますな。とても満足して、店の裏からウキウキロードに出て、東へ進み、城南の旧道を左折し田舎道を抜けてめど町橋を渡る。前日、ネットでググっていたら、『くすめき地蔵』なるものがもうひとつ、嘉島町の鯰にある『三社宮』の前にもあるらしいので、見に行く。今朝渡った中の瀬橋の脇にある三社宮の木立。