くまもと自転車紀行

熊本市およびその周辺を走行した記録や装備・メンテなど、自転車にまつわることがらを中心としたブログです

でけたぁー、ニューホイール!

今日は朝から、クロモリロードバイクで運転免許証の更新に行った。

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こんな時は通常、クロスバイクで行くのだけど、クロモリロードバイクに付けていたホイールが今日で現役引退となるため、そのお別れライドとした。 Mavicのホイールではエントリーレベルの安価なものだけど、「思えば、このホイールで色んな所に行ったなあ」と、しみじみ。

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さて、事の始まりは、ひと月ほど前の事。シクロクロスのディスクブレーキのパッド交換にクシサイクルに行ったところ、ナベちゃんが居て、常連さんがロードバイクの高価なホイールの話をしていた。 実はクロモリロードバイクのホイールが8年経って随分くたびれて来たので、そろそろ新しいのに交換しようかと話をしたところ、早い話が「どうせなら、ホイールを手組みしてははどうか?」という事になったのだ。 幸い、1008さんから借りている振れ取り台とセンターゲージもあることだし、早速ネットで手組みホイールの情報を調べてみた。 「パンダヘッドのお気に入りライフ」というサイトに「手組ホイールが出来るまで」というシリーズがあって、詳しく書いてあったのでこれを参考にすることに・・・。 数日後、同サイトで推薦してあった「ロードバイクの科学」を東部市民センターの図書室から借り、勉強開始。

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ホイールを手組みする場合、材料としては、車輪である「リム」、車軸である「ハブ」それらを繋ぐ「スポーク」と「ニップル」が必要。 それぞれを、色や材質、使用目的や予算に応じて選ぶのだけど、「スポーク」は「ハブ」や「リム」の大きさ、スポークの組み方などから必要な長さを計算して注文しなければならない。 そのスポークの長さの計算のところで早くも行き詰まってしまった。 そこでナベちゃんを自宅に呼んで、購入予定のフロントハブ、フリーハブとリムから必要とされるスポークの長さをいくつかのサイトにある「スポーク長計算器」で計算してもらう。

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(「自転車探検」の計算器)

こうして、リムは手組みホイールのスタンダードであるMavic Open Proを2本、前後のハブは奮発してシマノDURA-ACE、スポークは評判の良さそうなDT REVOLUTIONを、ナベちゃんに計算してもらった長さ、本数分、それに、ニップルは真鍮製のものがスポークに付いてくるが、いつかハヂメさんが「アルミ製のニップルに交換するとかなり軽くなる」と言ったのが頭に残っていたので、なべちゃんに相談したところ、アルミのニップルは初心者が使うと「ナメてしまって大変な事になることがあるのでお薦めしない」との事なので附属の真鍮製のものを使う事にする。 1月30日にタキザワにネットで注文。2月3日には出荷の準備ができたとメールがあり、クレジットカード支払い。2月6日に自宅に着いた。

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ところが頼りのナベちゃんは、その頃、卒論の仕上げの真っ最中。わたしも色々あって、2月14日から、自分ひとりで比較的簡単そうな前輪から作業を開始。

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幸い、同じ組み方をしたクロスバイク用のARAYAのホイールがあったので、それを参考に見様見真似で夜なべをしてホイールを組んでいった。

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今回のスポークの組み方は「6本組み」と呼ばれる代表的な組み方で、片面で8箇所の「あや」と呼ばれるスポークが交差する部位では奥のスポークを手前に誘導しないといけないのが大変だったけど、次第に慣れてきた。

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一番のポイントは空気入れの穴の部で、スポークの通し方次第では「あや」の部が空気入れ用の穴の上に来ると、空気入れを装着しにくくなるので細心の注意が必要。

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2月16日には前輪の仮組みが終了。

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いよいよ後輪の作業に取り掛かる。

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前輪の構造は左右対称だけど、後輪はスプロケット(ギア)がある分、左右非対称の構造になっている。

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当然ながらスポークの長さも左右で違うので、その辺も注意が必要。 さらには左右のフランジ(スポークを通す部)も前輪に比べて狭いので、スポークの「あや」をとるのもさらに大変となる。 途中でスポークの通し方を間違えてやり直したりしたものの、徐々に慣れて、後輪は数日の夜なべで仮組みを終了。

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ところが頼りのなべちゃんは、卒論の審査以降もなにやら用事があるようで、ただ待っているだけでは芸がないので、スポークのテンションを上げていくことにする。 リム側からネジ回しでスポークのネジ山が見えなくなるくらいまでニップルを回して行った。 しかし、この時点でスポークはまだユルユル。 翌日、徐々にスポークのテンションを上げて行って、クロスバイクのホイールと同じくらいまでにした。

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ここまでは単純作業であるけど、ここから先の「振れ取り」、「センター出し」がテクニカルになってくる。 「振れ取り」には「縦振れ取り」と「横振れ取り」がある。 縦振れ取りとはリムを正円形に整えるもので、ホイールを回してみて、リムが縦方向に振れなくするようにする作業。

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横振れ取りとはリムの円形面を平面に整えるもので、ホイールを回してみてリムが横方向に振れなくする作業。

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スポークの調整の締めとなる「センター出し」は縦方向から観てリムがハブの中央にくるようにする作業。

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以上、必要に応じてニップルを回して、必要とされるスポークのテンションを上げたり下げたりして行く作業である。 特に後輪は左右のスポークの長さ、テンションがかなり違い、「センター出し」に苦労した。

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ひととおり予備の作業は終了したが、やっぱりテンションがどれくらいなのか気になるので、スポークテンションメーターを持ってるハヂメさんに借りてみようかとも思ったが、この頃はすでに「手組の面白さ」にハマってしまったので、思い切ってアマゾンに注文。 昨日届いたので、早速テンションを測り、

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換算標でチェックしたところ、

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ロードバイクの科学」で推奨されていたものと比べて前輪は低く、後輪は高かったので調整した。 そして今日、運転免許証の更新手続きを終了し、午前11時過ぎに子飼でナベちゃんと落ち合い、大江の「インド食堂」へ。 ここで、本日のナベちゃんのバイト代を現物支給で前払い。

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自宅へ移動していよいよ仕上げの作業にとりかかる。

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ナベちゃんのスポーク調整は流石にわたしより繊細で、目的とするスポークにテープで印をつけるなど要領を得ていた。

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しかも1008さん自作の振れ取り台の最大のセールスポイントである感圧メーターを有効利用してかなりの精度で振れを取っている。

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そしてセンター出しを済ませると、

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「馴染み」を出す作業。

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これはホイールのリムの部分に上半身の体重をかけてハブを床面に強く押さえつけることによりスポークに刺激を与え、スポークのねじれを戻す目的で行うとのこと。 これを行ったのち、再び振れ取りとセンター出しを行って、作業終了となった。 そして新しいチューブとタイヤを付けて、完成!

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早速、クロモリロードバイクに付いている古いホイールを外し、後輪のスプロケを付け替え、新しいホイールを装着。

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自宅の周囲をひとっ走りして、期待していたように足回りが滑らかになったのを確認した。 ホイールの手組みは、最初、前輪ハブにスポークを通し始めた時は果てしなく感じ、途方に暮れたが、やっているうちにコツが飲み込めてきて、段々楽しくなってきた。 新しいホイールでしばらく走ってみて、一月後くらいに行うホイールの再調整が楽しみとなってきた。 前日までの準備が功を奏したのとナベちゃんの手際の良さで予定したより作業が早く終わったので、残りの時間はクロモリロードバイクの次なるレストアに向けての作戦をナベちゃんとともにあーだこーだと話し合った。

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