くまもと自転車紀行

熊本市およびその周辺を走行した記録や装備・メンテなど、自転車にまつわることがらを中心としたブログです

二酸化炭素のはなし

8月3日(日)に予定されていた大藪サイクル主催の『小国ツアー』が雨天中止になってしまった。そこで、帰宅の途中、大藪さんとこに寄ったついでに、携帯空気入れの最終兵器(?)『CO2インフレーター』を買うことにした。 購入したのは、TNI社のCO2 Tire InflatorのMini Pumpというもの。

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開けてみると、CO2ボンベと流出ガス量を調節するRegulatorがすでに装着してあり、ボンベには赤い腹巻状の緩衝材が装着してある。それに予備のボンベがひとつ。

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赤い腹巻状の緩衝材を装着してあるのは、ガス放出時にボンベ表面が凍結することがあるためらしい。 マニュアルによると使い方は、まずRegulatorの調節ネジが閉まっていることを確認。

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Regulatorにボンベを捻じ込む。

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タイヤチューブのバルブヘッド部に送気部を連結。

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Regulatorの流量調節ネジを緩めて送気。

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と、割に簡単そう。 そこで、試しにやってみる。

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わずか数秒で送気が完了!感動である。 ・・・と、送気部をみると、霜が降りている。

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よく見ると、チューブのバルブ・ステム部にも霜が・・・。

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これは気体の膨張に伴い、その温度が急激に下がったため。 ボイル・シャルルの法則ですな。

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ところで、注意しないといけないのは、CO2でタイヤチューブを満たすと、抜けやすいということ。 ゴム風船を膨らませても翌日にはしぼんでしまうように、気体はゴムを通過する。

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その通過しやすさ(透過性)は気体の種類によって違い、天然ゴムに対する各種ガスの透過しやすさの値(透過係数)は以下の通り。 水素   :1.4 ヘリウム :1.0 酸素   :0.8 窒素   :0.3 そして・・・ 二酸化炭素: 5.1 ・・・と他の気体にくらべると天然ゴムに対する二酸化炭素の透過係数はかなり高い。 ちなみに、二酸化炭素は生体への吸収率も高く、空気の200倍と言われている。 そのため、医療の分野では、大腸内視鏡検査や腹腔鏡手術時の送気、心臓・大血管手術時の手術時などに二酸化炭素ガスが使用されている。

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(大腸内視鏡検査で空気を使うとお腹が張って苦しいけど二酸化炭素だと楽!)

話が横に逸れたけど、そんなCO2の性質のため、数日もたつとタイヤ圧が減ってしまうので、CO2でタイヤチューブを満たした場合は、帰宅後、CO2を抜いて、空気を入れなおさないといけない。 ところが、そんな面倒な事をしないでもよい製品があるらしい。 STAYFILLというもので、ガスの種類を明らかにしていないが、窒素では?とのこと。

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会社のサイトによると、空気で満たした場合よりもはるかに持ちが良いとのこと。 ただし、この製品、CO2の倍くらいの値段だし、現在のところ米国本土のみの流通らしい。 ところで、使い切ったボンベを眺めていて、

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「これ、どうやって作ったんだろう?」と思って調べてみると動画が見つかった。 要は、鉄板を円形に打ち抜いて、それを灰皿状にして、さらに段階的に試験管のような形にしてゆく。 次に、開口部を段階的につまむ様にして細くしてゆき、形成。 CO2を充填して蓋をする。 メッキをして表面にプリントして、出来上がり。 ・・・意外と手が込んでますな。