くまもと自転車紀行

熊本市およびその周辺を走行した記録や装備・メンテなど、自転車にまつわることがらを中心としたブログです

わしらのドーピング

競技スポーツ界に暗い影を落とすドーピング問題。同じ『癌からの生還者』として尊敬していたランス・アームストロングも、『ツール・ド・フランス総合7連覇』を始め多くの栄光を失った。

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国際オリンピック委員会 (IOC) が開催した「スポーツにおけるドーピングに関する世界会議」において採択されたローザンヌ宣言に基づき、1999年11月に設立された、「世界アンチ・ドーピング機構(WADA)」。禁止薬物リスト・検査・分析などの国際的なドーピング検査基準やドーピング違反の罰則規定の統一化、アンチ・ドーピング活動に関する教育・啓発活動等を目的としている。

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禁止薬物リストに含まれる薬剤は、その作用として、筋肉を増強するもの、心臓の動きを増強するもの、血液中の赤血球を増やすもの、精神を高揚させるものなどで、いずれも競技力の向上に影響するものであり、違反者は後を絶たない。 一方、わしら中年サイクリスト、それも競技などには無縁で、「行って、観て、聴いて、食べて、記録する」などを主な楽しみにしている者にも、『ドーピング』が必要な場合がある。 『こむら返り』の予防・治療である。

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『こむら返り』は、筋肉に発生する強直性けいれんで、筋肉の疲労に加えて、発汗による水分喪失やミネラル不足、加齢に伴う血行障害などで生じるといわれている。 個人的には、『こむら返り』ではなく、『からすまがり』と言っていたが、これが方言だったとつい最近知った。 とにかく、この『こむら返り』を起こすと、楽しくサイクリングどころではなくなる。 『こむら返り』は『こむら(腓:ふくらはぎ)』だけでなく、足の裏、太ももなどでも起こる。 わたしも数年前から足の裏の筋肉がサイクリング中に『こむら返り』を起こしそうになることがある。 そんな厄介な『こむら返り』・・・その予防にも治療にも有効な漢方薬がある。 『芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)』である。

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芍薬甘草湯は、牡丹の仲間の芍薬

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の根と、甘い草と書く甘草(かんぞう)

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の根を煎じて作られた漢方薬である。 今から約1700年前に書かれた「傷寒論(しょうかんろん)」という漢方の古い本の中で、「芍薬甘草湯を与えると痙攣した足が伸びる」と書かれており、この頃からすでに「こむら返り」の治療薬として使われていたことが分かる。 芍薬甘草湯は、芍薬に含まれるペオニフロリンのカルシウムイオンの細胞内流入抑制作用と甘草に含まれるグリチルリチン酸のカリウムイオン流失促進作用による筋弛緩作用が、予防効果と、頓服での即効的な効果(疼痛消失まで約3分)を示し、汎用されている。 本場中国では乾燥したものを煎じて服用するが、煩雑なため、日本ではそのエキスを顆粒状あるいは錠剤にしたものが市販もされている。

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病院で診察を受け、処方してもらう場合と比べると、支払う金額に大きな差はない。 ただ、市販品の場合は1包あたり1.5g~1.8g程度であるのに比べ、病院で処方してもらうものは2~3gとやや多目になっている。

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「甘草」に含まれる成分(グリチルリチン酸)には、まれに、血液中のカリウムを低下させたり、むくみや血圧上昇といった副作用もあるので、使い過ぎには注意が必要。 それに、脱水やミネラル不足が原因と思われる場合は当然それらの是正が第一。 それでも「『こむら返り』が起きそう!」あるいは「起こった!」と言う時は、同行のわたくしめにお声をかけていただけば、いつなりと・・・。

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