自転車通勤も10年余りとなり、同じ道をチンタラと往復していると路傍の雑草にも栄枯盛衰があるのに気が付いてくる。
その中で、比較的よく見かける古参の雑草の代表である「カタバミ」は
夜間や日が陰ると花弁に加えて葉も折りたたまれ、片側が喰まれたようにも見えるために「片喰」の名前になったと言う。
昔から葉や茎をすりつぶして虫刺されに使われたり、出血を止めるのにも使われ、「チドメグサ」の別名もあるとのこと。 実が成熟してくると、外からの物理的刺激により種を1メートルほども飛ばすことが知られている。
実際に種を見たくて実を摘んで家に持ち帰り、解剖してみると、ケシ粒ほどの光沢のある白い皮とそこから弾かれた黒い小さな種を確認できた。
小さくて、はかなげなカタバミではあるけど、こうやって、したたかに命をつないでいる。
これに対して、このところ急速に勢力を伸ばしてきたのが、北アメリカ原産の帰化植物、「アメリカフウロ」。
フウロというのは漢字で「風露」と書き、「周囲が木々で囲まれて出入り口が一か所だけの土地」という意味らしく、そういう悪条件の土地でも生えるような繁殖力の強さが特徴で、通勤路でもあちこちで姿を眼にする。 花期は3月から6月にかけてで、1㎝ほどの小さな花は、まばらで目立たないが、
切れ込みの深い葉がどの季節も鮮やかに紅葉し、よく目立つ。
花の色が濃くて密に咲くような、園芸種の「ヒメフウロ(姫風露)」というのもあり、こちらは金峰山の東門寺から野出峠にかけての路傍で野生化している。
アメリカフウロの実は尖って細長く、
最初は緑色だが、やがて赤味ががって黒ずんでくる。
さらに実が熟してくると根元のところのサヤみたいなのが開いてきて、種を入れた黒い袋が姿を現す。
そして刺激により中央の鞘がバネのように巻きあがって袋状の皮に入った種子を遠くへ飛ばす。
前述のカタバミが「玉羊羹」に爪楊枝を刺した時のような感じで種を飛ばすのに対して、
アメリカフウロは投石機で飛ばすようにして種を飛ばす。
そして残った鞘が御神輿のようにも見えるため、「ミコシグサ」との別名がある、とのこと。
ちなみに、アメリカフウロの方も弾ける前の実を摘んで家に持ち帰り、どんな種なのか解剖してみたら、ゴマ粒ほどの楕円形の黒い種子が現れた。
アメリカフウロの種が弾ける動画を捜したけど無かったので、同属の「ゲンノショウコ」のコマ送り動画をどうぞ。
べダルを漕ぐ足元の草むらで、生き残りをかけて様々な営みが行われているんだな。