熊本市内ではあまり見かけないが、農村や山間部の集落を走っていると時々みかけるのが「馬頭観音」。
(宇城市轟の馬頭観音)
「馬頭観音」とは、六種類ある観音の一つで、ヒンズー教の「ハヤグリーヴァ」という、首から上が馬の神様が起源らしい。
この神様は、ヒンズー教の最高神である「ヴィシュヌ神」
が怒った時の化身と言われ、それ故、通常は温和な表情をしている観音様にあっては異例の「憤怒」の表情をしている。
(美里町城福寺の木像馬頭観音像)
仏教では「六道輪廻」の中の
「畜生道」に落ち行く人たちを救済するのがこの馬頭観音とされている。
わたしめなぞ、死んだらこの「畜生道」に行かされる恐れがあるので、
この観音様を見かけたら念を入れて手をあわせていたが、一方、民間信仰では馬をはじめとする家畜の安全を守り、また、死んでいった家畜の供養をする目的で建立されている。
(地震で破損した西原村の馬頭観音)
その特徴としては、頭のところに馬の頭部を飾り、
(御船町陣地区の馬頭観音)
顔が3つあったり、
(宇城市轟の馬頭観音)
手が8本だったり、
(菊池市泗水の村吉集落)
馬にまたがっていたり、
(嘉島町の浮嶋神社)
色々なバリエーションがある。
(南阿蘇村久石の「鳥の小塚公園」)
(熊本市南区銭塘の馬頭観音堂)
そんな中、菊池水源の玄関口、永山地区で見かけた「馬頭観音」と思しき石像。
彫られているのは観音様というよりは神父さんに見えるし、その右上の方の手に持つものは十字架のようにも見え、「ひょっとすると隠れ切支丹のための石像?」と疑ってしまう。
わたしめが子どもの頃には道によく馬糞が落ちていたものだが、いまでは「藤崎宮秋の大祭」以外に道路で馬を見かけることは皆無になってしまった。
あらたに馬頭観音が祀られてることも少なくなってきているようだが、
(西原村の慰霊碑)
これからも馬頭観音様には、わたしめを含めた畜生の安全を守っていただきたい。
(南阿蘇村の清水寺)