自転車で田舎道を走っていると、路傍に咲いている花が目を愉しませてくれる。
その他にも、色々な雑草が路傍を賑わせているけど、場所により、季節により、雑草にも栄枯盛衰があるようだ。 今日はそんな雑草を撮り貯めた写真の中から、いくつかご紹介。 春先に目立つ雑草はスイバである。
花が蕾の頃は緑色で目立たないけど、花が咲くと薄茶色から
赤味を帯びてくる。
スイバの名は「酸い葉」から来ており、噛むとほのかな酸味が口の中に広がる。
欧州ではサラダに使われるという。 そんなスイバには雄の株と雌の株があるが、さらに植物としては珍しくXY型の性染色体を有する。ただしヒトでは性がY染色体の有無によって決まるけど、スイバではX染色体と常染色体の比によって決定するらしい。植物が性染色体を有するというのは、日本人研究者により世界で初めて、このスイバで報告されたとのこと。 次に目立ってくるのがチガヤであろう。
春本番になってくると川べりの土手や空き地で銀色の穂を光らせながら柔らかく風に揺れている姿を目にする。
6月30日に行われる「夏越大祓(なごしのおおはらへ)」。
チガヤの尖った葉は邪気を祓うという言い伝えがあり、「夏越大祓」ではチガヤの葉で作られた「茅の輪」をくぐり、過ぎた半年の厄、災いを祓い、無事を感謝するとともに残る半年の無病息災を祈る。
梅雨が近づくと目立ってくるのはクズである。
ところがその蔓はなかなか厄介で樹木を覆い尽くすなどあっと言う間。
すごい繁殖力である。
そのためか、房状の花も何となく怪しげに見える。ただし、匂ってみるとブドウの香り。
そんなクズだけど、元々由緒正しき植物で、「秋の七草」のひとつでもある。その根は良質の澱粉粉として和菓子に利用される一方、その名の通り「葛根湯」
として風邪や肩こりに処方される。また頑強な蔓は籠などの民芸品にも利用されている。 夏から秋にかけて勢力を伸ばしてくるのはセイバンモロコシである。
漢字では「西藩蜀黍」。訳して「台湾に多い、中国から来たキビ」。地中海の原産で、戦後に日本に侵入した帰化植物である。西日本から線路沿いにあっと言う間に東北地方まで広がったという。 コイツの困る所は背が高いことで、河川管理用の道沿いに生えると見通しが悪くなり、非常に危ない。
何と言っても、「世界の十大害草」に選出されている猛者なのである。 以上の参考資料は市立図書館から借りてきたこの本。
最後に番外編としてご紹介するのはBoston Red Soxの上原浩治投手。
彼のモットーが「雑草魂」である。 上原投手はエリートの道を歩いてきた訳でなく、高校時代は無名校の、しかも控え投手。体育教師になろうと大阪体育大学への進学を目指すが不合格。 浪人してもう一度受験することを決意し予備校に通う傍らジムでトレーニングを積み、更に家計への負担を減らすために夜間は道路工事のアルバイトもこなした。 その苦しかった19歳の頃を忘れないためにも彼は背番号を19にしているという。
わたしの19歳も辛い一年で、あの一年がその後の糧となっているなあ。