日向往還は肥後の国(起点は熊本市新町札の辻)から、嘉島町~ 御船町~山都町を経て、日向の国(宮崎県、終点は延岡市)へ至る約三十四里(136km)に及ぶ旧藩時代の歴史道である。 「街道」が参勤交代に関わる「武士の道」とすれば、「往還」は「商人の道」と言うこともできる。 この往還の中でも、御船町の木倉から山都町の北中島交差点(矢部ゴルフ場付近)までは、「日向往還のハイライト」とでも呼ぶべき区間らしいので、走ってみることにする。 こんな日のためのシクロクロスバイクで午前7時過ぎに出発。京塚、陸上自衛隊健軍駐屯地経由で県道226号に入るいつものコース。 途中、徒歩にて出勤中の、ちよさんに遭遇し、しばし立ち話。いつぞやに続き二度目ですな。 県道226号から田舎道に入り、浮嶋神社の横を通り、
サントリービール工場の丘を越えて、田舎道を走り、落合橋を渡って自動車学校から左折し、いよいよ日向往還に入る。やがて左側に四里木跡の碑。
少し走ると御馴染みの門前川眼鏡橋。往還はここを渡る。
国道446号線との交差点のセブンイレブンで燃料補給をして県道221号線の登りへ。 乳井戸観音の手前から右に折れ、激坂を上って宋心原(そうしんばる)の集落を抜け、剣豪楠田柳太郎の墓に立ち寄る。
県道221号線に戻り軍見(ぐみ)坂を上る。今日は普賢岳も見える。
坂を上り切った辺りに「五里木の跡」の石碑。
その先から古閑迫方面へ右折。
棚田を眺めつつ、嘉永井手沿いの往還を走る。
やがて県道221号線に合流し、少し走るとマミコゥロードとの交差点の左手に守護神社。何を守護するのかと思ったら、嘉永井出を守護する神社らしい。
そこから500mほど走って、茶屋ノ本地区の「鼎春園」へ。
幕末の勤王思想をリードした宮部鼎蔵とその弟春蔵の名前をとって地区の人達が作った公園。その少し先の左側には彼らの生家跡。
往還はそこから右へ降りるが、そこの路傍に追分石。「右やべ 左あそ 道」と書いてあるらしい。
棚田の間の道を下ってゆく。
下りきったところに、八勢橋。
ここはかつて、日向往還最大の難所で、掛けてあった木橋は何度も洪水で流された。 そこで御船町の豪農・林田能寛が私財を投げ打って石橋を造った。 通潤橋の翌年に4ヶ月の工期で完成したという。 石橋を渡ると八勢石畳へ続く。 シクロクロスを抱えて苔むした石段を上がる。
西南戦争時に敗走した薩軍兵士の気持ちをかみしめ上ると、横にはせせらぎの音。 黒く細い姿から「うなぎ滝」と呼ばれている。
数百mすると石畳から悪路へ。
所々、押しながらもできるだけシクロクロスを漕ぎ上がる。やがて標識があって舗装道に合流。
そして八勢橋のところから上がって来た舗装道と合流し、少し進むと、六里木跡の碑。
ここから左手に上って行くと畑の中の道から杉林の道となり、林を抜けると八勢池。
その後も杉木立の中の道を何度も進み、
古いお地蔵さんやら、
茶畑の中の尋常小学校跡の石碑など、
事前調査通り走り、交差点を二つ進むが、その後、中九州自動車道の工事で道が迂回しており、そこから道なりに進むが、「長谷旅籠跡」の標石は見逃してしまう。 さらに道なりに進んでいると「薩軍兵士三人の墓」の標木。
西南の役で傷ついた兵士を土地の人が看病したが、手当もむなしく亡くなり、この上の墓地に眠っているとのこと。 このあとまた杉木立や竹林の道となり、しばらく走ると石畳が出現。
山鳩の鳴く声が赤子の声に似ていることからその名がついたと伝わる「赤子谷石畳」を進む。 石畳が切れて、突き当りを左折すると左手に「鬼の巡り石」。
大晦日になると、鬼が来てこの石を廻すと言われている。また、最近では、上に小石を載せると恋が叶うというらしい。 砂利道の坂を上って進むと、往還は矢部ゴルフ場の中へ。
誰も居なかったらゴルフ場の中へ侵入するはずだったけど、清掃の人が大勢いたので、ゴルフ場の横の砂利道を進んで、いつか行った「矢部野ファーム」の横を過ぎ、県道57号線へ。
右折して数百m坂を進んで右折すると、ゴルフ場から出てきた往還に入る。
坂を降りると国道445号線の北中島の交差点に出た。
これにて本日の日向往還サイクリングは終了。 ここから国道445号線を走ってチポリーノへ行くと、先客1名。
美味しいパンをいただく。
差し入れもいただく。
若旦那、いつもありがとうございます。 新土河原町からTrekに乗って来た方とお話をして辞去。 県道39号線、県道222号線、県道152号線といつもの道を進み、
国道445号線へ。 今日は瀬戸医院のところから右折して、近くオスプレイの訓練拠点となる大矢野原演習場方面へ。
初めて走るアップダウンの強いクネクネ道を進み、
県道57号線へ入る。 その後もひたすら県道57号線を進み、秋津川沿いの道に出て西へ。
追い風に助けられ、いつものように陸上自衛隊健軍基地の西側に出て京塚を経由し、大藪サイクルに寄って帰った。 本日走った日向往還は全体の約10分の1の約14km。大した距離ではないが、変化に富んでいて、先人の息遣いを感じられる区間も多く、大変興味深かった。 今後、日向往還の、熊本市新町札の辻から山都町馬見原までの残りの部分を数回に分けて走ってみたい。 本日の走行距離:84.4㎞