くまもと自転車紀行

熊本市およびその周辺を走行した記録や装備・メンテなど、自転車にまつわることがらを中心としたブログです

自転車お守り

今年の元旦から嘉島町の浮島神社で2種類の『自転車お守り』を授かることができるようになったのは周知のところ。たちまち人気沸騰で、なかなか授かることができなかったが、先日やっとの思いで授かった。

画像

このお守りをプロデュースされたのは浮島神社の神職の井王さん。

画像

きっかけは、自転車乗りでもある井王さんが、昨年、熊本市の繁華街の、とある飲み屋で行われた、自転車乗りのFBのオフ会に出席された時の事。浮島神社の神職をしていると言う事が皆の知るところとなり、聞かれたのが『自転車のお守りはないんですか?』 ちなみに、その一言を発したのが、この人。

画像

(その一言がなかったら、自転車お守りもできとらんわけですたい。) それから井王さんがネットで調べてみると、自転車お守りというものは既にある。

画像

その中のひとつが全国のいくつかの神社で『自転車お守り』として授与されているので、それを用意することも頭をよぎったが、どうもデザインがきにいらない・・・。それで井王さん、2種類のお守りを自らデザインをして、それを知り合いのデザイナーに修正してもらい、さらにお守りを制作する工房で細かなデザイン変更をしてできあがったと言う。 さて、その自転車お守り、ロードバイク乗りなら多くの人が「おおっ!」と思うデザインなんだけど、そうじゃない人にとっては『どこらあたりが?』と言うことみたいなので、少しばかり解説を・・・。 まず、こちらのお守り・・・。

画像

真ん中の虹のような帯がポイント。 この帯は、『マイヨ・アルカンシェル』を由来とする。

画像

『自転車用語』というブログによれば、『マイヨ・アルカンシェル』とは・・・ 『自転車競技において、毎年シーズン終盤に開催される世界選手権の各種目を制覇した選手に贈られる白地に虹色のラインが入ったジャージ。もしくは世界選手権での勝利そのものの意味。単にアルカンシェルとも呼ばれる。アルカンシェルはフランス語で虹を意味する言葉で、このジャージのことを英語ではレインボージャージと呼ぶ。その年にマイヨ・アルカンシェルを獲得した選手は、次回の世界選手権終了まで公のレースにおいてマイヨ・アルカンシェルを着ることが出来る(優勝した種目の競技のみ)。また、どの種目に関わらず一度でも世界選手権を征した選手はチームジャージの袖・襟や車体に虹色のラインを入れることが出来る。』 要するに、『世界チャンピオンの証』なのである。 ちなみに、自転車競技の世界選手権と一言で言っても、ロードレース部門、トラックレース部門、マウンテンバイク部門、バイシクルモトクロス部門、シクロクロス部門などで、さらにそれぞれでいくつかの種目が行われる。さらには、パラサイクリング(障碍者)の部門もある。 これまでに日本人選手も『マイヨ・アルカンシェル』を獲得している。 スプリント(プロ) 中野浩一……1977〜1986年 俵信之……1987年 ケイリン(プロ) 本田晴美……1987年 パラサイクリング 石井雅史 1kmタイムトライアル(CP4)、個人ロードレース(CP4)……2007年 藤田征樹 1kmタイムトライアル(LC3)……2009年 (Wikipediaより) 中野浩一選手なんて、10年連続で獲っている。

画像

凄いことだ。 ところで、この虹色の帯、よくみると、5色である。虹は色は7つだが、硬いことを言ってはいけない。この5つの色は世界の5大陸を表す色(オリンピックの五輪と同じね)だ。

画像

(UCI:国際自転車競技連合のロゴマーク) 青がオセアニア 赤がアメリカ 黒がアフリカ 黄がアジア 緑がヨーロッパ 自転車競技者の憧れの的であるアルカンシェルだが、これをジャージにつけて世界チャンピオンとしてレースに臨むと、プレッシャーのせいか成績が振るわなかったり、事故にあったりすることもあるそうで、『アルカンシェルの呪い』と言われる一面もあるとか・・・。 今年、アルカンシェルを着てロードレースに臨むのはベルギー人のフィリップ・ジルベール。

画像

彼はその『呪い』を跳ね返してくれるだろうか? それではもうひとつのお守り。

画像

こちらは白地に赤の水玉模様がポイント。 世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランス。黄色のジャージ(マイヨ・ジョーヌ)を着た総合優勝者が注目を浴びるが、それだけではない。ツール・ド・フランスでは多くの山岳ステージがあり、走破する山の高度などの難易度に応じて『山岳ポイント』が設定されており、上位で通過した者が順位に応じたポイントを獲得する。そして最も多くの累計山岳ポイントを獲得した者が、白地に赤の水玉模様のジャージ(マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ)を着て次のレースに臨む。

画像

その他にも緑色のジャージ(ポイント賞)や白色のジャージ(新人賞)がある。 山岳賞が何故、白地に赤い水玉模様なのか?それは1975年に山岳賞ジャージのスポンサーとなったフランスのチョコレートメーカー「プーラン(Poulain)」が、当時のプーラン社製品のパッケージに良く使われていた赤色を使ってジャージのデザインをしたからだと言われている。現在の山岳賞ジャージのスポンサーは別の企業になってしまったが、山岳賞のジャージとして人気のでた白地に赤玉模様のデザインを踏襲している。 ちなみにその1975年の最初の白地に赤玉ジャージを獲得した山岳王者はルシアン・ファン・インペというベルギー人。

画像

彼はツール・ド・フランスで6回山岳王となり、総合優勝も一度勝ち取ったらしい。 ベルギーって、ほんと、強い自転車乗りが多い。 あ、言い忘れていたけど、浮島神社の『自転車お守り』の赤い水玉模様。井王さんがおっしゃるにはこの『赤』を出すのが難しかったんだと。お守りの布地は絹糸で、『大和錦』という織り生地を使うのだけど、白地に通常の赤糸を織り込むと水玉がピンク色になったりして、いい赤色を出すまで何度かやり直したと聞いた。ホイールを連想させる丸い形とか、雨でも濡れない心遣いもあり、なかなか良い自転車お守りだと思うなあ。